ME機器を停電からどう守る?医療関係者のための事例集を公開!
目次[非表示]
- 1.ME機器とは
- 1.1.ME機器の概要
- 1.2.Tips!ME機器にもクラスがある!?
- 1.3.停電した時ME機器はどうなる?
- 2.病院の停電対策、どうすればいい?
- 3.医療関係者のための事例集
こんにちは、ニシムの「むぅこ」です。
皆さまは、病院で停電が発生したとき、どのような対策をされていますか?
日本の電力事情は世界有数の品質を誇りますが、予期せぬ電源トラブルはいつでも起こりえます。
ニシムでは、「停電対策についてはよく分からない」といった方でも分かりやすい、医療関係者のためのお役立ち資料を公開しました!
ニシムが実際に対応を行った事例をご覧いただき、医療関係者の電源に関する悩み解決策の、ヒントを知ることができます。
今回は事例集の紹介ほか、病院の停電対策に関係する用語等について、医用に特化したUPS「医用UPS」に詳しいニシムの先輩に聞きながら、勉強していきたいと思います!
事例集は無料でダウンロードできますので、気になる方はぜひぜひチェックしてみてください♪
▼お役立ち資料はこちら
【事例集】医療関係者のための 電気設備停電対策
ME機器とは
「病院の停電対策」と聞いて最初に浮かぶのが、病院で使用する様々なME機器(医用電気機器)です。
病院内ではたくさんのME機器が使用されており、もし電気が止まってしまったら…大変なことになってしまいますよね。
まずはME機器とは何なのか、基本的なことを勉強していきましょう。
ME機器の概要
むぅこ:ME機器とは、Medical Engineering(医用工学)機器の略称ですよね!
ニシムの先輩(以下、ニシム):そうですね。ME機器は、装着部をもつか、患者との間でエネルギーを授受するか、患者にエネルギーを与えるか、または患者からのエネルギーを検出する電気機械器具のことです。
医用電気機器とも呼ばれますが、JIS T 0601-1では、ME機器と表記されています。
むぅこ:JIS…JIS規格のことですか?
ニシム:はい。JIS T 0601-1とは、「医用電気機器」に関するJIS規格のことです。
ME機器の代表的なものとして、人工呼吸器、人工心肺装置、輸液ポンプ、シリンジポンプ、生体情報モニタなどの例が広く知られています。
Tips!ME機器にもクラスがある!?
ME機器は、電気で駆動する医療機器です。したがって、電撃(感電)への対策が重要となります。そのため、充電部を絶縁し、保護手段の一つとしています。
これを基礎絶縁と呼んでいますが、ME機器では基礎絶縁だけでなく、もう一つの追加の保護手段をとっています。
この追加保護手段の代表的なものが、保護接地線(感電防止のために設けられている保安用アース)により感電の対策を行う、というものです。(現在はほとんどのME機器で行われています。)
この保護接地線によって対策が行われた機器をクラスⅠのME機器と呼んでいます。
クラスⅠのME機器は、3Pプラグを使用した機器で、万が一漏れ電流が増えた場合には、その電流を3Pプラグ内のアース線に流すことによって安全を担保するためのものです。
『病院電気設備の設計・施工方針~JIS T 1022:2018に基づく病院電気設備のあり方~』より
▼関連記事:アース付きコンセントについて詳しく知りたい方はこちら!
医用コンセントって何?色の違いから基礎解説
停電した時ME機器はどうなる?
むぅこ:停電対策を行っていない場合、もちろんME機器は停止してしまいますよね…。
ニシム:もちろん。医療現場において、特に手術室や集中治療室など、患者さんの生命に直接かかわるME機器を多く使用している部門では、電源供給の停止が非常に大きなリスクを伴う場合があります。
むぅこ:想像しただけで怖いです…。
ニシム:そうだね。ただ、バッテリー搭載型のME機器もあるんですよ。ニシムが2018年にME機器のバッテリー有無を調査したところ、主に手術室で使用されるME機器は86機種、うち、バッテリー有は48機種。およそ56%の結果でした。(4か所病院が対象)
むぅこ:バッテリー搭載型は約半数なのですね…!
ニシム:はい。機器の特性や新旧等、搭載できないものも多数あるとの結果でした。
むぅこ:なるほど。それでは、バッテリーを搭載できないME機器は、どうやって停電対策を行えばいいのでしょうか?
病院の停電対策、どうすればいい?
停電対策はUPSと発電機(非常電源)で対策をする
ニシム:停電対策は、「非常用発電機」と「UPS」(非常電源に適合する電気設備)で行いましょう。
むぅこ:2つとも装置の名前…ですか?説明をお願いします!
ニシム:はい。まず「非常用発電機」は、建築基準法による「予備電源」、消防法による「非常電源」の用途で設置されます。
商用電源が停止した時自動的に始動し、自動的に必要な電力を供給ができ、長時間のバックアップが可能ですが、電圧が確立するまでに10~40秒ほどの時間を要します。
むぅこ:なるほど。長時間の非常電源として活躍するが、始動するまでに時間がかかる…と(メモメモ)
ニシム:その通り。対して「UPS」は、停電や瞬時の電圧低下などで生じる各種機器のトラブルを解消するための装置です。
停電が発生すると、バッテリーから途切れることなく負荷へ電力を供給することができます。しかし、停電補償時間は10分程度とされているので、長時間のバックアップには不向きです。
むぅこ:「UPS」は停電しても途切れることなく電力を供給できるが、長時間は動かない…となると、長時間のバックアップが可能な「非常用発電機」と、途切れることなく電力を供給できる「UPS」。
これを組み合わせることで、停電対策は補完できる!と考えられますね。
ニシム:その通りです!
Tips!UPSの集中設置と分散設置
無停電でME機器に電気を供給するUPSですが、大きく2つの設置方式があります。
・大型のUPSを一か所に設置して各医用室へ電気を供給する「集中設置」
・医用室ごとに個別にUPSを設置し、電気を供給する「分散設置」
それぞれのメリットを確認してみましょう。
集中設置のメリット
①低コスト
大容量のバックアップが必要な場合、小中型のUPSを複数台設置するよりも、集中設置のUPSの方がkVAあたりの単価が安価となります。
②省スペース
大きな容量を1台でまかなうことができるので、電気室に設置することでスペースを節約することができます。
③管理が容易
少ない箇所への設置となりますので、保守・管理がとても容易です。
<集中設置の注意点>
集中設置は供給する負荷が多いため、故障時の影響が大きくなります。そのため信頼性を向上させる必要があります。
分散設置のメリット
①安全性
落雷や整備不良など、何らかの原因でUPSが故障したとき、一か所に設置されている集中設置では、接続されているすべてのME機器に影響が及びます。
個別に分散させて設置していれば、ME機器への影響を最小限に抑えられます。
②保守性
個別に定期点検・更新作業ができますので、他の医用室のME機器に影響を与えません。
③拡張性
手術室の増設が決まったら、UPSの電源容量も増やすことになります。
個別に、医用室に設置できる分散設置なら、容量に合わせたUPSを設置するだけで容量の拡張が可能です。設置場所の荷重の分散も考慮でき、柔軟な容量選定が可能になります。
それぞれの病院に合わせた対策が必要です。
▼不明な点や詳細はぜひニシムまでご相談ください!
https://www.nishimu-products.jp/m-ups/contact
医療関係者のための事例集
ニシムでは、「停電対策についてはよく分からない」といった方でも分かりやすい、医療関係者のためのお役立ち資料をご用意しております。
▼お役立ち資料はこちら
【事例集】医療関係者のための 電気設備停電対策
《次のような方にオススメです》
- 電源に詳しくないので、病院の停電対策をどうしたら良いか分からない
- 他の病院にどんな悩み(課題)があってどう解決したのかを知りたい
- 病院・医療施設の建設・設計に役立てたい
- ニシムがどのような解決策を提案するのか知りたい
《掲載お悩み例》
- 総合病院のUPSの更新にあたり、今以上の信頼性向上を目指したい。
- レディースクリニックの開院にあたって停電対策をしたいが、テナントビルのため発電機を設置できない。
事例の詳細は、ニシムの新入社員と先輩が対話形式で話していくため、電源に詳しくない方でも分かりやすく読み進めることができます。
事例集は無料でダウンロードできますので、ぜひチェックしてみてください♪
最後まで読んでくださり、有難うございました。
【参考文献】
[1]一般社団法人 電気設備学会,病院電気設備の設計・施工指針~JIS T 1022:2018に基づく病院電気設備のあり方~,2018
[2]日本規格協会,医用電気機器−第1部:基礎安全及び 基本性能に関する一般要求事項 JIS T 0601-1:2017