UPS(無停電電源装置)とは
目次[非表示]
- 1.まとめ~UPSとは「停電しない電源」ということ!~
- 2.~ UPSの概要~UPS=電源装置?~
- 3.UPSと電源トラブルの関係
- 4.UPSの仕組み
- 5.UPSの種類
- 5.1.常時商用給電方式
- 5.2.常時インバータ給電方式
- 5.3.トライポート給電方式
- 6.UPSが利用される装置
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「トライポートUPS」サイト
こんにちは、ニシム電子工業のむぅこです。
皆さまは「UPS」ときいて、何のことだかすぐに分かるでしょうか?
瞬きほどの時間でも、停電が発生すると稼働している機器が停止して、再稼働に時間を要してしまいますよね。工場などでは、大きな損害につながってしまいます。
このように、「UPS」は現在意識の高まっている『停電対策』『防災』などにとって、非常に重要なアイテムになるそうです。
「UPS」のスペシャリストであるニシムの先輩に聞きながら、文系のむぅこが『UPSとは何なのか』、分かりやすくご紹介します!
まとめ
~UPSとは「停電しない電源」ということ!~
時間がないので端的に教えてください!という方向けに、まずはズバリ「UPS(無停電電源装置)とは何なのか」というと!
1、UPSとは電力の供給源である!
2、実際には、「停電や電圧の変動などの電源トラブルが発生した場合に、一定時間安定した電気を供給する装置」といわれている!
3、UPSの特長は、蓄積されたエネルギーを安定した交流電力に変換して連続で負荷設備に供給する「連続性」である。つまりは「停電しない電源」なのだ!
…ふぅ。ざっくりいうと上記のような説明になります。
それでは、もっと詳しく説明してくださいという方向けに、続けていきますよ~。
~ UPSの概要~UPS=電源装置?~
UPSとは、Uninterruptible Power Supplyの略であり、『電源』装置の一種です。
日本語では「無停電電源装置」と訳します。
しかし、電源装置といってもピンと来ない方もいらっしゃると思います。
「電源」とは、その名の通り「電力を得る源」のことです。
一般的な家庭などでは、コンセントのことを電源と称したりしますが、根源的にいえば、電源とは発電所などの電気をつくる源のことをさします。
では、「電源装置」とは何なのでしょうか。
基本的には電力会社からくる電力を供給源としてデスクトップ型パソコンなどは動いています。
「電源装置」はこの電力の供給源そのものの役割を果たす装置です。
UPSはその「電源装置」の役割を果たします。従って、UPSとは電力の供給源であるといえます。
実際には、停電や電圧の変動などの電源トラブルが発生した場合に、一定時間安定した電気を供給する装置です。
UPSと電源トラブルの関係
発電所から実際に使用される機器までの間には、いろいろな設備が関係しています。 その設備(受変電設備など)で故障が発生した場合、それが復旧するまでは一般的に停電となりますね。 そのほかにも、落雷や瞬時電圧低下といわれる現象など、安定した電力供給を妨げる事象が存在します。 そのような事象によって起きる入力電源の変動に対して、定電圧・定周波の安定した交流電力を無瞬断で負荷に供給するのがUPSです。
▼関連記事:停電・瞬時電圧低下について詳しく知りたい
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確かに、避けうることのできない自然現象の都度、電源変動に対して敏感な電子機器などが停止していては、私たちの生活はままならないですよね。
UPSは一般社会の目には届かない「縁の下の力持ち」・「保険」といえるでしょう。
UPSは名前の通り停電しない電源であり、停電などが起きた場合に蓄積されたエネルギーを、定電圧・定周波の安定した交流電力に変換して連続で負荷設備に供給するものです。
この連続性が基本機能の重要なところであり、UPSと称される理由にあたります。
(UPSは「無停電電源」ですからね!)
UPSの仕組み
一般的に、電気を変換するための部分(整流装置やインバータなどの電力変換部)と電気を貯めるための部分(バッテリなどの蓄電部)の組み合わせで構成されています。
電気を変換する…と、また専門的なお話がでてきましたが、要は通常の商用電源(コンセントのことです)と同じ規格の電気をUPSからも出せるようにするために必要な作業なのです。
いろいろな変動・瞬低・停電などの事象が含まれる商用電源を、交流から直流に変換する整流装置と、整流装置の直流出力を安定した交流電源に変換するインバータ装置があります。
電気を貯めることは、言わずもがな大切な作業です。停電が起きて、UPSから電源を確保しようとしても、UPSの中に電気が貯まっていなかったらどうしようもありません。 この役割は、蓄電池が担っています。
商用電源が停電すると、同時に整流装置の直流出力は無くなってしまいます。
そこで、直流エネルギーを蓄えている蓄電池から直流電力をインバータ装置に供給し、その直流電力をインバータ装置で安定した交流電力に変換して、負荷へ無停電で供給を継続します。
ただし…。
世の中には、停電などの電源対策として、「発電機」と呼ばれるものがあります。
機械が起こす運動エネルギーを、電気エネルギーに換える装置です。
一番身近なものだと、自動車のエンジンに装着されているものがありますよね!
(自動車では発電機のことをオルタネーターとよびます)
「発電機」は停電が起こると発電運動を開始して、電源の役割を果たします。
現在では至る所にさまざまな発電機が取り付けられており、非常時に備えています。
電源トラブルがあった時に、電源装置として電力を供給しているのです…。
ん?発電機があるならUPSはいらないのでは?と思われた方、おっしゃる通りです。 (!!)
確かに、発電機とUPSは機能としては同じものです。
しかし、さまざまな用途において、発電機を使用したり、UPSを使用したり、両方を利用したりするのです。
▼合わせてよく読まれている記事:UPSと発電機の違いについて詳しく知りたい
電源トラブルの救世主?UPSの必要性
UPSの種類
ニシムが取り扱っているUPSの種類や特長は、次の通りです。
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ニシムの電源ソリューション
それぞれの方式について、詳しくみてみましょう!
常時商用給電方式
「常時商用給電方式」とは、常時商用入力を切り替えスイッチ経由で負荷に電力を供給する方式です。「常時インバータ給電方式」に比べてランニングコストが小さいことが特長です。
停電・復電時に切替スイッチの動作時間だけの瞬断が発生するので、この瞬断時間を許容できる負荷のみに適用が可能です。
価格は安価なものが多いことも、特長にあげられます。
常時インバータ給電方式
「常時インバータ給電方式」とは、CVCFインバータ装置によって負荷に電力を供給するため、入力電源の乱れに影響されない方式です。「常時商用給電方式」に比べてランニングコストが大きくなります。
停電・復電時にも無瞬断で切替えを行い、負荷へ連続して給電します。
パソコン・サーバーなどのコンピュータ機器や、ハブ・スイッチ・ルーターなどのネットワーク機器に適用が可能です。
UPS故障時等のバイパス給電時(画像の黄色ライン)は、UPSを経由して負荷へ給電していても、給電モードが「バイパス」となっていれば、そのタイミングで停電・瞬断などが発生すると負荷停止に至ってしまいます。
!豆知識!
Q.どうして常時商用給電方式では「充電器」を使っているのに、常時インバータ給電方式では「整流器」を使っているのですか?同じものですか?
A.「充電器」「整流器」の区別については、広義ではどちらも同じと言えます。
常時商用給電方式では、交流電力⇒直流電力変換の際にバッテリー充電分の電力で済むので、変換回路を小型出来るメリットがあります。
一方、「整流器」出力電力は、充電分+インバータ入力部への給電分があるので、インバータ容量に見合う容量が必要なのです。
トライポート給電方式
「トライポート給電方式」とは、ニシム独自の給電方式です。商用電源とインバータ装置2方向からの交流電力を合成して1方向に出力する、トライポートトランスを使用しています。
停電・復電時にも無瞬断で切替えを行い、負荷へ連続して給電します。
パソコン・サーバーなどのコンピュータ機器や、ハブ・スイッチ・ルーターなどのネットワーク機器に適用が可能です。
起動時に大きな電流が流れるモーター負荷などは、UPS容量に注意が必要になります。
▼「トライポート給電方式」の分かりやすい説明動画はこちらをチェック!
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「トライポートUPS」サイト
UPSが利用される装置
UPSは、具体的にはどのような場所で、どのように使われているのでしょうか。
例えば一般的なデスクトップ型パソコンは、停電など電気が止まってしまえば電源が落ちてしまいます。
しかしUPSにつなげておくと、無瞬断(一瞬も電力を途切れさせない)で電力を供給できるため、電源が落ちることはなく、大切なデータが消えてしまうことはありません。
実際には、金融機関のオンラインシステムや、インターネットデータセンターのような大規模な設備から、パソコンなどのコンピュータ機器・ネットワーク機器まで、さまざまな規模における重要なシステムを電源トラブルから守っています。
そのため、いつ起こるかわからない災害の対策として、非常に重要であると注目されています。
私たちの知らないところで、こんなにもUPSは活躍していたのですね……。むぅこも新たな学びになりました。
これからも、工業関係で疑問に思ったことを調査していきたいと思います。
最後まで読んでくださり、有難うございました。
【参考文献】
松﨑薫,無停電電源システム実務読本,オーム社,2007