IoT活用事例 -ため池・河川の監視で災害を防げ-
こんにちは、ニシム電子工業です。
「IoT」という言葉が登場し、世の中に浸透してきてから、しばらく経ちます。
テレビやインターネットサイトでも度々見かけるようになったIoTですが、実際はどのような場所で活用されているのでしょうか。
今回は、IoTの活用事例を紹介していきます。
ため池の監視にIoTが活躍
IoTの活用事例として、ため池の監視を行うことが挙げられます。
IoTによって、防災を目的とした水位・漏水監視の効率的な仕組みを提供できるようになることが大いに期待されている事例です。
ため池とは、降水量が少なく、大きな河川にも恵まれない地域などで農業用水を確保するために、人工的に造成された池のことです。
全国に約20万か所存在し、西日本に多くみられます。
山間や丘陵地で谷をせき止めて造られた「谷池」や、周囲に堤防を築いて造られた「皿池」など、様々な種類のため池が存在しています。
そんな日本各地に存在しているため池ですが、課題がいくつかあります。
大きな課題として挙げられるのは、老朽化の進行です。
ため池の約70%は江戸時代以前に造られたもので、昭和以降築造のものは約10%に留まります。
そこに自然災害が起こってしまうと、被災を免れるのは難しくなってきます。
ため池の被災原因の約70%は豪雨によるもので、近年は特に集中豪雨が頻発していることもあり、土砂災害が後を絶ちません。
水を溜めるだけではなく、多様な生物の生息・生育の場になったり、地域の憩いの場になったりなどの、様々な役割を有するため池。
このため池の状態を、IoTを利用して常に監視しておくことで、災害の危険性を検知し、予測する助けになります。
ため池にIoTセンサーを使うと、何が出来るの?
ため池の監視には、主に水位センサーや土壌センサー、気象センサーが使用されます。
水位センサーではリアルタイムに放流水位の情報を管理者に送ることができるため、水位変化の状況や危険度などを、管理者の経験に基づいて予測する助けとなります。
これは集中豪雨により被害が出てしまう前に、避難や放流の判断をして、防災につなげようというものです。
また、気象センサーによって雨量、風向風速などを測定し、自然災害に備えることもできます。
その他、ニシム電子工業では土壌センサーをため池付近の土地に設置し、体積含水率を測定することによって、土砂災害の危険性を把握するための検証を行っています。
ため池の監視ほか、河川の監視にも
IoTの活用事例として、ため池の監視についてご紹介しましたが、同様に河川の監視も挙げることができます。
従来は目視で監視されていた河川。しかし防災に対する意識が日に日に高まっている昨今、IoTで河川の監視をする事例が増えてきています。
ここで使用される主な計測センサーは、水位センサーです。自治体や企業の河川管理者は測定した河川の水位データを見て、地域の方々にきめ細やかな防災情報を伝えることや迅速な緊急体制を整えることができます。
もちろん水位センサーだけではなく、確認したい状況・情報・場所に応じて最適なセンサーを組み合わせて計測することが可能です。
今後は測定したデータをどのように活用していくかが重要視されています。
IoTを活用して簡単・迅速にデータを測定できるようになりましたが、現在ではそのデータの活用方法は、経験に基づいた管理者の判断に委ねられているからです。
これからはAI(人工知能)を活用して管理者の分析・判断の助けになるよう、様々な企業が協力し合い、より付加価値の高いデータの提供ができるように、研究が進められています。
まとめ
今回のコラムでは、IoTの活用事例として、ため池や河川の監視事例を紹介しました。
水位センサーや土壌センサー、気象センサーなどを使って遠隔からリアルタイムで監視を行えるようになることは、いざという時の防災対策にもつながります。
IoTは手段であり、何か目的を達成するために使うものです。
様々な活用事例を見ていきながら、自分の目的は何で、そのための具体的手段は何なのか、改めて見つけるきっかけになればと思います。
最後までお読みくださり、有難うございました。