肥料の側面から持続可能で豊かな農業を目指す!田畑の聴診器
目次[非表示]
- 1.「田畑の聴診器」とは
- 1.1.研究の背景
- 1.2.仮説
- 1.3.測定手法の確立・検証装置の開発
- 1.4.実験内容・結果
- 1.4.1.肥料濃度測定(100m×60m)
- 1.4.2.収穫量検証(別圃場に長さ100mの畝3つ)
- 1.5.「田畑の聴診器」のシナリオ
- 2.総務省「異能vation」プログラムの異能βに登録
- 3.「JAPAN INNOVATION DAY 2023」展示会に出展
こんにちは、ニシムの「むぅこ」です。
今回は「田畑の聴診器」の開発についてお知らせです。
社会課題の解決に向けた取組の1つであるこの製品。まだ試作機の段階とのことですが、製品開発の背景や考え方とともにお伝えします!
「田畑の聴診器」とは
(試作機で検証中)
「田畑の聴診器」は、田畑から河川に流れ出る無駄な肥料分を削減し、海や川の生態系を守るための製品です。
研究の背景
- 肥料価格が高騰している
- 最適な肥料の指針がバラバラで作物栽培に必要な肥料の量が分からない
- 過剰な肥料分の地下水や河川水への流入が懸念されている
この研究は、土壌の肥料分を可視化し、施肥が必要な場所を明確にすることで農家の肥料散布にかかる負担軽減と収益の増加、肥料公害の撲滅を目指すものです。
肥料が必要なところに、必要な分だけまいていく、ということですね。
結果、海や川の生態系を守ることにもつながる…と。
すごい!どんな開発をしているのか、もっとみていきましょう!
仮説
- 「面」で土壌診断を行うことで、ノウハウが無くとも効率の良い施肥ができるのではないか
- 窒素肥料が蓄積しているとアンモニアが検出されるのではないか
- アンモニア検出が多い土壌への追加施肥は不要ではないか
(肥料支出の減少=相対的な収益の増加)
測定手法の確立・検証装置の開発
■アンモニアセンサモジュール
肥料濃度分布を可視化する計測システムを開発
■土壌表面吸引用の筐体
底面の開いた筐体に吸引機を取付け、土壌中のアンモニア成分を抽出
■自走用履帯付き土台装置
地磁気を活用した自動走行システムを開発
実験内容・結果
肥料濃度測定(100m×60m)
■実験
試作機の実走実験
実験圃場で試作機を全体に走らせ施肥マップを作成
■結果
施肥にはムラがあり、肥料散布が必要な個所は実験圃場の場合全体の17%程度でした。
収穫量検証(別圃場に長さ100mの畝3つ)
■検証作物
馬鈴薯
■実験
仮説の検証
実験圃場で条件を変えて馬鈴薯を育て、収穫を比較
畝A:施肥なし
畝B:測定結果を基にスポット散布試作機で施肥
畝C:肥料メーカー推奨量を施肥
■結果
畝A |
畝B |
畝C |
|
施肥量 |
0 |
1.4kg/a
|
8kg/a |
収穫量 |
100kg |
300kg |
130kg |
少ない肥料の時が圧倒的に良い結果となりました。
収穫量にこんなにも差が出るなんて、驚きです…!
「田畑の聴診器」のシナリオ
「田畑の聴診器」はSDGs(持続可能な開発目標)を意識し、『田畑から河川に流れ出る無駄な肥料分を削減し、海や川の生態系を守りたい』という考えから開発に至りました。
「田畑の聴診器」を製作することによって、どのような未来を描いているのかご紹介します。
1.「田畑の聴診器」の製作
2.計測実験(フィールド試験)
3.肥料不足/過剰肥料の判断
4.適正肥料散布・収穫量の確保
5.農家へのDX提案(農業の効率が上がる)
6.DX等による国内の自給率上昇
7.途上国へ技術を提供
肥料公害を低減させながら食料問題の解決を目指す
8.食料生産に伴う肥料公害の撲滅を目指す(肥料メーカー等へ働きかけ)
9.肥料の側面から持続可能な食料生産の実現を目指す
現在開発中の「田畑の聴診器」ですが、さまざまなところで技術の認定や展示を行っております。
総務省「異能vation」プログラムの異能βに登録
総務省主催の「異能vation」プログラム・破壊的な挑戦部門において、「田畑の聴診器」の技術が異能βに認定されています(2021年度)。
(採択番号 INV08737283)
異能vationプログラムとは
異能vationプログラムは、ICT(※)分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題への挑戦を支援します。
既存の常識にとらわれない独創的な「変わった事を考え、実行する人(通称「へんな人」)」の、「なにもないゼロのところから、イチを生む」失敗を恐れない果敢な挑戦を支援するとともに、そうした方々が交流し、異能と異能が掛け合わさることで、さらなる独創的な発想が生まれるような環境を提供します。
人類史上、既存の枠にとらわれない破壊的なイノベーションを起こしてきたのは、こうした奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦する「へんな人」でした。異能vation プログラムは、こうした人たちがのびやかに活躍することが日本の新たな未来を創る、と信じて取り組んでいるものです。
(※)Information and Communication Technology:「情報通信技術」
出典:異能vationホームページ
(https://www.inno.go.jp/about/)(2023年4月18日に利用)
「JAPAN INNOVATION DAY 2023」展示会に出展
ASCII STARTUPさま主催の「JAPAN INNOVATION DAY 2023」展示会・IoT/HARDWARE部門に「田畑の聴診器」を出展致しました。
たくさんの方々が技術に興味を持っていただき、非常に有意義な展示会となりました。
「田畑の聴診器」について、お問い合わせなどありましたらお気軽にご連絡ください♪
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ニシム電子工業 事業企画開発部
TEL:092-482-4700
FAX:092-482-2498
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